7つの習慣 セルフ・スタディ

第三の習慣:重要事項を優先する(最優先事項を優先する)
II 領域活動にフォーカスするために「No」と言う

II 領域の活動が、自分に良い人間関係や生活のバランスをもたらし、さらに緊急事項を減らすことができる効果があります。しかし、多くの人は第 II 領域の活動の重要性がわかっていても、なかなか実行できないのが現状です。なぜなら、第 II 領域の活動は、第 I 領域や第 III 領域の活動のように向こうから働きかけてはくれず、自分で管理しなければならない難しさがあるからです。

何かを達成しようとするのであれば、自分でやるか誰かにやってもらうかの二通りしかありませんが、自分でやるという選択をした場合について考えてみましょう。

ここで大きな問題となるのが、「第 II 領域のための時間をどのように作るか」ということです。既に忙しい毎日を送っている人にとって、新たに時間を作り出すのは至難の業でしょう。第 II 領域の活動を行うための時間は、第 III 領域や第IV領域からとるしかありませんが、仕事の効率を上げたり、睡眠時間を削ったりしても作れる時間には限界があります。しかも、私たちがいくら事前にやるべきことを決めていても、誰かからの依頼が無いわけではありません。

そういった状況の中、自分にとって重要なことを成し遂げていくには、数々の誘惑や些細な出来事などの重要ではないことに対して「No」と言う勇気が必要になります。「Yes」と言ってしまった方が楽な場合もあるでしょう。相手の感情を損ねないし、自分の評価も下がらないで済むだろう、といった気持ちを抑えて「NO」と言う勇気が、第 II 領域の活動を行う時間を作り出す鍵なのです。

自分にとって最も優先すべきことが何なのか、しっかりと決めておく必要があります。そして気持ちよく、笑顔で率直に、それ以外のことに対して「No」と言う勇気を持つことが大切なのです。小事に振り回されてはなりません。

また、ためらうことなく、「No」と言えるようになる秘訣は、自分の中でもっと強い、燃えるような大きな「Yes」を持つことです。

たとえその緊急なものが「良い」ものであっても、それを許してしまえば、あなたにとっての「最良」のもの、あなたにしかできない貢献ができなくなります。「最良」の敵は「良い」なのです。相手との信頼関係を壊すことなく「No」と言うことができる人物の例を紹介しましょう。

 ある大学で広報委員長を務めていたとき、とても主体的で有能なコピーライターを採用したことがあった。彼を採用して数ヶ月経った頃、私に回ってきた緊急な仕事をしてくれるように、彼のところに頼みに行った。

すると、彼は次のように返事をした。

「先生から頼まれたことは何でもしますが、その前に私の今の状況を説明させていただけないでしょうか」

そして、彼はホワイトボードを示した。そこには、各委員から頼まれた数十のプロジェクトとその締め切り、そして評価基準のすべてが表示されていた。それらすべて、前もって話し合いで決まっていた通りであった。次に彼はこう言った。

「先生が今すぐしてほしいとおっしゃっている仕事には、数日間が必要です。それに応えるために、ここにあるプロジェクトの何かをキャンセルするか、あるいは遅らせなければなりません。先生ご自身はどうしてほしいのか教えてください」

私はその責任を取りたくなかった。私は自分の仕事の緊急性に反応していただけであり、最も生産性の高いスタッフの邪魔をしたくはなかった。彼に頼もうとしていた仕事は緊急ではあったが、重要なものではなかったので、緊急の問題処理ばかりしているほかの人間を探して頼むことにした。

  • あなたのこの1週間の活動を振り返ってみてください。どの活動に「No」と言うべきでしたか?
  • そのとき、本来やるべきことはどんなことでしたか?
  • 相手にどのように説明すれば、理解してもらえたと思いますか?

私たちは毎日、何回も様々なことに対して「Yes」または「No」を言わなければなりません。私たちは、重要なことを実行するために、重要ではないことに「No」と言う勇気をいつも

試されていることを忘れないでください。

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第二の習慣 13 14 15
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第四の習慣 21 22 23 24 25 26
第五の習慣 27 28 29 30 31
第六の習慣 32 33 34
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