プロフェッショナル活用事例 黒川二郎

黒川二郎『7つの習慣』との出会いにより、自らの影響力をさらに発揮できる行動をめざそうと新たな決意に燃え、1998年よりフランクリン・コヴィー・ジャパン(株)のファシリテーターに転じる。パッション溢れる人間味豊かなファシリテーションで、多くの受講者に勇気と情熱を与え続けている。「7つの習慣」等のセミナーを行う一方、独自活動として、「コミュニケーションが組織文化を変える」を信念に、特に組織におけるコミュニケーションの問題を掘り起こして、指導している。

「頑張り過ぎると途中で挫折してしまうので、無理しないことがコツです。小さな目標を着実に実行していくことで、小さな達成感を積み重ね、それがやがて自信や『心のやすらぎ』へとつながっていきます」

プランナーのインデックスと一週間コンパスを活用する

いろいろな本を読みますが、自分に役立つフレーズや事例があると、プランナーのデイリーノートに書くと同時に、その日付と要約をプランナーのインデックスに書いておくんです。特に大事なことに関しては赤で書いておくとすぐ利用できますし、すぐにそれを見つけられます。講師は情報が勝負ですから、それをまとめることができるインデックスは大変役立っています。

また、すごく使い勝手のいいのが一週間コンパスです。仕事だけでなく、プライベートの時間を充実させるのにも一週間コンパスが役立っています。夫、父親、息子、友人などプライベートの役割をいくつか一週間コンパスの「役割」のところに書いておきます。そしてその役割を果たすための目標を設定し、「実行したら勝ち、しなかったら負け」と考え、「勝率何パーセント」という形で数値化すると、負けたら嫌ですから目標を実行するようになります。その結果、貴重なプライベートの時間を有意義に過ごすことができます。

小さな信頼残高を積み上げる

転職する前、仕事だけに没頭し、家庭を全然顧みないことがありました。家に帰らない日も多く、家族との関係も良くありませんでした。たまに帰ると、長女が私の顔を見て、「お母さん、お父さん来たよ」っていう感じだったんです。「7つの習慣」の本を読んで、「このままではまずい」と思い、小さな信頼残高を積み上げることにしました。例えば、この週は「夫」という役割と、それを果たすために「中華街に行く」という目標や、「ありがとうと1日5回言う」という小さな目標を設定しました。それで、ずいぶん家族との関係が良くなりました。

ですからいつも研修で申し上げているのは、「頑張っちゃ駄目です」ということなんです。頑張り過ぎたら途中で挫折してしまうので、無理しないことがコツなのです。一週間コンパスには役割を7つ(残りの1つは刃を研ぐ)書くことができますが、最初は役割の数は7つでなくていいんです。またその役割を果たすための目標も小さな目標にし、数も絞ります。まずは、その小さな目標を達成することに意識を向けましょうと言っています。役割を増やしたり減らしたりしながら、頑張り過ぎずに着実に実行していくことで信頼残高を高めていくことができると思います。

ビジョンを設定することで変わる

ビジョンは人によって違います。長期的なビジョンもあれば、短期的なビジョンもありますが、いずれも自分を変えることは同じです。例えば、上司との関係が最悪で毎晩帰宅が午前様になっていた48歳のビジネス・パーソンのビジョンを紹介しましょう。土日は疲れて寝ており、子どもは部活に行っていますから会えません。それで、会社にも家庭にも居場所が無くなり、だんだん八方塞がりになった時、彼は「じゃあ、これからどうしたいのか」と考えました。その結果、「引退後、シニア海外ボランティアで自分の技術を活かす」というビジョンが見えてきました。

そして、次に考えたのは、「海外に行った時に備えて、今、何をすればいいのか」、ということでした。海外では、日本人の価値観とは全然違う人々と一緒に仕事をやらなければなりません。それなら、価値観が違うとはいえ、同じ日本人である上司との間で関係を構築できなければ海外でそれがやれるはずはない。そこで、まず上司との関係を築いてから海外に行こうと決意し、挨拶や声掛けから始めたのです。

「確かに上司はまだ好きになれません。でも上司の態度が明らかに変わってきました」「困った時には相談に来るようになってきたし、色々情報をくれるようになり、関係は普通に戻りました」と話をしてくれました。もちろん家族との関係を改善したことは言うまでもありません。彼はビジョンを設定することで、自分を変えることができたのです。

長続きさせるための工夫をする

役割のバランスは大事です。意識しなければ仕事に偏るか、仕事に満足していない人はプライベートに偏ってしまいます。コヴィー博士はバランスを強調されています。

仕事に集中しなければならない時期は、仕事中心になることもありますが、そんな時もバランスをとるために、仕事以外の役割として少なくとも1つはプライベートの役割を入れることをお勧めしています。プライベートも大事だとわかり始めたら、その時はプライベートを増やしていけばいいのです。短期ではなく長期でバランスを取ることが必要です。

1つ気を付けて欲しいのは、やり過ぎてしまうことです。あまりも真面目に厳格に役割設定、目標設定を行うといずれ疲れてしまいますから、例えば2週間に1回は何もしない日を設けることも効果的です。何もしない状況を作ることで充電できるので、また明日から頑張ろうという気持ちになります。

また、忙しい中で目標を実行する時間を確保するための工夫も大切です。私は隙間時間を活用しています。例えば、肉体の健康を保つために運動をしますが、運動だけの時間を取れないことも多々あります。そんな時に隙間時間を活用します。一週間コンパスの私は目標設定のところに、SFと書いておきます。SFは自分なりの呼び方ですが、「隙間ファイト」のことです。誰も見てないようなところ、例えばエレベーターを待っている間、シャドーボクシングをしたり壁を押したり、エレベーターの中でスクワットをしたりします。忙しい時であっても、ちょっとした隙間時間を使うことで、運動の時間を確保することができます。

勉強する時間も同様です。例えば、「作家のMさんの本を20ページ読む」という目標であれば、目標のところに「M20」と書きます。そして、20ページ読んだらピシッと止める。つい今日は調子いいからと頑張って読み進まないことがコツです。そうすると余力を残して終われますから、長続きするのだと思います。

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