プロフェッショナル活用事例 西村謙二

上條富彦現在、「7つの習慣」をはじめとする様々なプログラムの講師、トップコンサルタントとして活躍。企業における豊富なコンサルティングの経験や、人間味あふれる魅力的な人柄から、多くの企業からの信頼と共感を得ている。

『人に正しい原則を教えれば、人々は自らを治めることができる』この言葉が私とコヴィーとの出会いであり、私の教育理念でもある。それに達した人は路傍の石からでも、あるいは空を眺めるだけでも、学ぶことが可能になり、人生の中に隠れたる真の宝を見いだすのである。

●プランナーを活用して人生を切り拓く

私は「7つの習慣」のファシリテーターを始めてから20年以上経ちますが、フランクリン・プランナーは「7つの習慣」の実践ツールとしてずっと活用しています。
最も活用している点は、役割ごとにビジョンを明確にし、そのために何をやればいいかを長期目標や中間目標として考えてから、日々の行動に落とし込んでいくという方法です。
役割ごとのビジョンというのは、たとえば、夫という役割では「妻の明るい老後」、親という役割では「子どもたちの真の夢の実現」、ファシリテーターとしては「お客様の夢の実現」、といったものです。
夫という役割における「妻の明るい老後」については、住宅ローンの返済、貯蓄、そして、妻の健康という三つの目標を設定して、それを達成するために週間単位で何をやったらいいかということを書いていきました。実は、そのおかげで妻の乳がんを早期発見することができたのです。
この経験を通して、大変そうに思えるミッションや長期目標も、中間目標から週間単位の目標へと落とし込み、自分のやれることを日々やっていくことによって、影響の範囲が広がっていくということを実感しました。もし、妻の健康を目標に設定していなかったら、明らかに発見のタイミングは遅れていたことでしょう。

目標を設定するにあたっては価値観が重要になります。『TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究』(キングベアー出版)の中で著者のハイラム・W・スミスが書いているように、価値観ごとに目標設定を行うことで、より実現に近づくことができるのではないかと思います。
価値観を考えていく過程で、「大事なこと」としてよくぶつかるのが、プライベートと仕事の対立ではないでしょうか。
私自身は家族のほうが大事だと普段から思っていたのですが、仕事によっては家族のお葬式に出られないことがあるかもしれません。そう考えたとき、自分は思っていることとやっていることが違うなと感じました。でも、よくよく考えたら、それは家族より仕事が大事なのではなく、自分の責任を果たす、他の人に迷惑をかけたくない、という自分の価値観から来ていることに気づいたのです。
つまり、私はそこに「価値を見いだしている」わけで、自分の価値観の中でも特に重要なのが、この「価値を生み出す」ということなのだと自覚することができました。
ちょうどその頃、象徴的なことが起こりました。かなりの時間や手間をかけて「7つの習慣」をベースに新たなプログラムを作ったのですが、それが新たな商品として展開されるということがありました。これはつまり、フランクリン・コヴィーというアメリカの教育コンサルティングのトップグループの会社が評価してくれたということで、そのことをきっかけに独立することを決めました。それまではそんな考えをしたことは一切なく、仕事上のミッションはありましたが、独立後の具体的なビジョンなどありませんでした。それでも動いたのは、どのような価値を生み出すのか、何を優先するか、ということが重要だと気づいたからです。
身近なもの、普段から意識しておかないといけないもの。その中で自分がどうありたいかというのがビジョンだと私は思っています。それらを掘り下げていくにあたって、フランクリン・プランナーやその基本となる考え方が果たした役割というのはとても大きなものでした。

●未来設計的な手帳としてはプランナーが最高峰

先にも触れたとおり、私はハイラム・W・スミスの『TQ』に感銘を受けましたが、その中に出てくる「生産性のピラミッド」は、自己実現のための優秀なツールだと思っています。彼は「フランクリン・プランナーは時間管理のツールのみならず、情報管理のツールでもある」と言っていましたが、本当にそのとおりだと思います。
フランクリン・プランナーにやることをまとめる、アイデアをまとめる。それは今も習慣として、日々、あるいは思い起こした瞬間に必ず実践しています。そういう未来設計的な手帳としてフランクリン・プランナーは最高峰だと思います。
多様な機能を使いこなせないと悩むユーザーさんもいらっしゃるようですが、パソコンソフトのWordやExcelの機能も、誰もが全てを使いこなしているかというと、決してそうではありません。それと同じで、フランクリン・プランナーも、自分にとって益をもたらす必要な機能をまずは使えれば十分、というスタンスから臨めばいいのではないでしょうか。(コヴィー博士が言うように「ツールは僕(しもべ)であって、ツールの僕になる必要はない」わけです。)
フランクリン・プランナーと似たような手帳は多くありますが、これに代わる質のものは出ていません。
アメリカ建国の父と呼ばれるベンジャミン・フランクリンが、「自分の人生にとって何が最も大切か」を考え、自身の価値観を厳選してまとめた「13の徳目」を日々の生活に落とし込むツールとして小さな手帳を完成させました。フランクリン・プランナーは、このベンジャミン・フランクリンの考えたプロセスをベースに開発されていて、活用することで自然に本当にやるべきことを実行することができます。ただの時間管理ではなく、自分のビジョンを実現するための価値観とプロセスに注目しているところが素晴らしく、重要なことをシステマチックにつなげられるのが、フランクリン・プランナーのユニークさであり、奥深さだと思います。

●即効性も効果性も期待できるデイリー・タスク

気楽に取り組むことができ、すぐに効果が見え始めるのがデイリー・タスクです。プライオリティを考えながらデイリー・タスクを書くだけでも、かなり生産性は上がるのではないでしょうか。
もし、デイリー・タスクを書き、頑張っているのに生産性が上がらないという方は、「時間管理のマトリックス」を使って自分の時間の使い方を見直してみることをお勧めします。
最初のうちは、緊急軸でしかプライオリティをつけられないかもしれません。それでもある程度の効果は出せるのですが、「7つの習慣」が重視しているのは効果性、つまり得たい結果を持続的に得続けることですから、やはり「基本と原則」は大切です。
初めに「自分がフランクリン・プランナーを使う目的」を明確にしておく必要があるでしょう。プランナーを使う人は普通の手帳では満足できなくて、きっと特別な何かを求めているはずです。それが「生産性もしくは能率の向上」であるならば、やるべきことにプライオリティをつけて確実に実行することで、間違いなく成果は上がると思います。逆に、「自分の達成したいことは何か」という部分から行動に落とし込んでいってもいいでしょう。
前者は演繹方式、後者は帰納方式。使用目的としてどちらかを選択し、徹底的にやっていくうちに、きっとどこかで両者がつながってくるのではないかと思います。

●「積み上げ方式」で成功をつかむ

自分のなりたい姿を明確にする演繹方式は「夢先取り方式」とも呼ばれていて、ある意味、アメリカ的な思考法です。
しかし、私が日本の中小企業やオーナー企業を調べてみたところ、成功している人のほとんどはそういう明確な目的を持たずに始めた人たちでした。彼らは目の前にある仕事を一生懸命頑張っていたら成果が出て、少し余裕が生まれたところで初めて「果たして自分はどうなりたいのだろう」ということを考えたのだそうです。これはまさしく帰納方式で、学び、成長したからこそ、方法論やビジョンが見えてきたわけです。
これを「積み上げ方式」と呼びますが、そういうふうにして成功に至った人は、実に97~98%。それも、20代30代ではなく、だいたい40代くらいで成功しています。
おそらく、日本的な感覚だと、ビジョン系、ビーイング系の目標は立てづらいような気がします。ミッションですら書けていない人が意外と多いですから。なので、少し難しいなと感じられる方にお勧めするファーストステップとしては、まずデイリー・タスクを使って成果を上げていくことです。それができたら、仕事の質を高めたりプライベートを充実させたりするような活動をデイリー・タスクに加えていく。そこで初めて「自分は何を大切にしたいんだろうか?」と価値観を明確にして、プライオリティを決め、説明文をつける、という方法です。これは自分がフランクリン・プランナーの使い方を模索している時に役に立った方法です。
あるいは、生産性や効果性を高めるための「自分なりの判断基準は何か」ということを考え、そこから価値観や説明文に入るという方法でもいいでしょう。
繰り返しになりますが、大事なのはデイリー・タスクに落とすこと。それだけでも充分に生産性は上がります。そして、自分が大切だと思うことを常に考えて実行することです。そうやって日々の生産性を上げていきながら、自分が本当に大切にする価値観とどう結びつけるか。それを可能にするツールがフランクリン・プランナーであることは間違いないと思います。

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