【コラム】
第3回 フランクリン・プランナーでミッション・ステートメントを作成する

ミッション・ステートメントを書くための準備

フランクリン・プランニング・システムの他のシステム手帳との決定的な違いは、自分にとっての「最も大切なこと」を明確にし、それに沿って日々の行動を組み立てられるようになっている点だ。

そのアプローチのひとつが、あなた自身の理想とする生き方や生きる目的を表す「Mission(ミッション)」である。

ミッションとは、あなたが何のために生きていくのかという「目的」のことである。

例えば、

  • 優雅な生活を送るために、経済的に自立する。
  • 誰にも真似のできないことをやるため努力を惜しまない。
  • 家族が楽しく過ごせるよう。家族全員力を合わせる。

など、人によって千差万別である。

まず、ミッション・ステートメントを書くための準備をすることにしよう。

最初に、自分が亡くなった場合にあなたの告別式で読み上げられる弔辞の内容を考えてみよう。私生活におけるあなたの友人はどんな弔辞であなたを送るだろうか。職場の同僚・部下はどうだろうか。地域社会での友人、そしてあなたの家族はどのような弔辞を述べるだろうか。人生を終えた自分自身を考えてみると、何のために生きているのか、という問いかけに対するあなたなりの答えが浮き上がってくる。

次に、あなたが人生のなかで、「所有したいもの」「やりたいこと」、そして「なりたいもの」について、考えてみることにしよう。

あなたが一生の間で、家や車、幸せな家族など有形無形を問わず、所有したいものは何だろうか。続いて、同じように、やりたいことは何だろうか。すべてリストアップしてみよう。また、どのような人物になりたいだろうか。

こうした質問への答えを考えるなかで、あなたは自分自身に必要なミッション・ステートメントを書く準備が整っていくのである。

ミッション・ステートメントを自由に書く

これらの3つの質問に対し、漠然とした答えでもかまわないので、何か浮かんでいるのであれば、ミッションを書く準備は整ったと言える。

ただ、ミッション・ステートメントと言っても、目新しいものではなく、大げさなものでもない。古代から現在まで、さまざまな文化において、○○何箇条といった条文、綱領や理念という形で作成されてきている。

すでにあなたも自分のミッション・ステートメントを会社の研修などで書いているかもしれない。形式は自由なので、ミッション・ステートメントだと意識しないこともある。すべての人は個性を持っているので、個人的なミッション・ステートメントは、落書き、メモ、俳句、短歌、小説、歌や詩など、内容や形式はさまざまで、その人の個性を映し出すものになる。

形式は何であれ、個人のミッション・ステートメントは、個人の憲法としての役割を果たす。国の憲法は、ほかのあらゆる法律を評価する基準となり、国家の行動基準と国民の権利と責任を定義するものである。憲法が正しい原則に基づいていれば、ほとんど改正する必要はない。なぜなら、不変の原則に基づいた憲法は、激しい変動を乗り越える力をその社会に与えてくれるからである。

同じように個人のミッション・ステートメントが正しい原則に基づいていれば、個人にも揺るぎない方向性が与えられる。それは個人の憲法となり、人生の重要な決断を行う基礎となる。生活のなかでのさまざまな局面で進むべき方向を指し示してくれる。激しく変わる環境のなかにあって、個人に不変の安定性と力を与えてくれるのである。

書くことで見えてくる

ミッション・ステートメントは多くの人にとって、それほど短期間で書けるものではないかもしれない。

深い反省と注意深い分析、そして多くの書き直しを経なければ完成しない。本当にそれが自分の価値観と方向性を十分に表現できるまでには、数週間あるいは数カ月~数年を要するかもしれない。

そして、年月と共に理解が深まり、状況が変化していくなかで、何度も見直し、細かな修正を加えていく方がよい。自分一人の時間を作り、見直し、書き終わったものを読み直してみると、ミッションは一層鮮明になり、あなたはさらなる決意や熱意、方向性や自由を感じることができるだろう。

書き上げていく過程が、最終的に出来上がった文書と同じくらいに重要である。ミッション・ステートメントを書く、あるいは見直すプロセスそのものに、人を変える力があるからだ。そうすることによって、あなたは熱意あふれる使命感を持つようになり、周りの環境や出来事に支配されない主体性を持つことができるようになる。

最後にここでは、何人かのミッション・ステートメントを簡単に紹介しておこう。

ミッション・ステートメント(1)

  • 着実に断固としてビジョンを実行する。
  • 家族ではお互いに思いやりをもって接する。
  • 仕事ではチームプレイに徹して全員のスキルを上げる。
  • 友人に対しては惜しみない協力をする。
  • 後悔しない生き方をする。

ミッション・ステートメント(2)

  • できるだけ自分の信念に忠実に行動する。
  • 居心地のいい住居でゆっくりと生活できる程度の経済基盤を確立する。
  • 家族は心のよりどころだから、常に最優先になるよう計画し行動する。
  • 人には正直、誠実に接し、信頼されるようになる。
  • 悲観的に考えず、常に前向きに考えて行動する。
  • リーダーシップを発揮して、人の先頭に立って行動する。

決断し、ミッションの実現に向けて突き進む

どんなに立派なミッション・ステートメントを作っても、毎日の生活に活かせなければ意味はない。そのためには、日々それをよく考え、記憶し、心に刻み込んで見直さなければならない。そうでなければ、道に迷ったときに、ミッション・ステートメントが活きてこない。

迷ったときの道案内となるミッション・ステートメントを作るには、単に書き留めるだけでは弱い。ミッション・ステートメントが人生の地図になるには、そこに書かれている内容が自分の血肉となり、その通りの生き方ができるような「生きたステートメント=声明」でなければならない。自分に道を指し示す磁石のようなミッション・ステートメントが理想だ。

ミッション・ステートメントによって、力を得ている人のほとんどは、「ミッション・ステートメントが生きている」と実感した経験があるようだ。ミッション・ステートメントが彼らの血となり肉となっている。その時に人は初めて、ミッション・ステートメントと強く結ばれるのである。そしてミッション・ステートメントに従って行動し続けることで、決断しなければならない時も後悔のない選択ができるようになる。

例えば、ミッション・ステートメントが、「常に誠実に正々堂々と生きる」であった場合、金銭的な誘惑に惑わされて犯罪に走ることはないはずだ。そうして誘惑に思い煩わされて、心の安らぎがなくなることも、無駄な時間を費やすこともない。そうミッション・ステートメントが強力であればあるほど、無駄な時間を使うことはなくなり、目標達成に向けた時間を確保できるようになる。ミッション・ステートメントを作り、それに従って行動することは、充実した豊かな生活を送るための最も重要な時間を確保することになる。

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