第21回:
ライフバランスで仕事の生産性を上げる

「刃を研ぐ」でも紹介しましたように、ノコギリの刃を研がずに樹を切り続けていると、次第に切れ味は衰え、切れなくなってきます。さらに、肉体も疲弊し、木を切る生産性は落ちます。

これは、仕事でも同じことがいえます。仕事をこなす、処理することばかりにエネルギーを注いでいると、逆に仕事の生産性は落ちてしまいます。適度な休息やリフレッシュ、自分自身の能力アップを図らないと、仕事の生産性が上がることはないでしょう。

そうなると起こってしまうのが、仕事へのさらなる没入です。そしてやがてビジネス以外で果たしている役割にしわ寄せがきてしまいます。リフレッシュや趣味の時間がとれなくなるだけでなく、家族とのコミュニケーションにも影響が出たり、友人との関係もおろそかになってしまうでしょう。

あるいは、自分の肉体のケアさえおろそかになるかもしれません。

そう考えると、ビジネスで生産性を上げるには役割のバランスをとることが不可欠だということに気づきます。

今一度、仕事、パートナー・配偶者、家族、友人、健康、自己成長、余暇・趣味、精神安定の時間配分を振り返ってみましょう。

夫や妻としての役割、子どもや友人としての役割、健康や自己成長を図る自分自身の役割を果たす時間を確保しているでしょうか?

具体的な時間を確保し実行して初めて、役割のバランスを図ることができます。

ただし、単に時間配分のバランスをとることだけが、役割のバランスを取ることではありません。

ビジネスとプライベート双方の成功を、バランスを意識するだけの「仕事と家庭の両立」や単純な時間調整の問題として考えてしまうと、仕事の時間をやりくりして誰かの要求を満たしたり、子どものイベントを思い出して慌てて早退したり、休暇をとってバカンスに出かけたりすることがバランスだと思ってしまいがちになります。

ライフバランスとは、単なる時間配分ではなく、自分自身が果たすべき役割すべてを自分自身のものとし、総合的(全人格的)な自分自身としての成長を意味します。

人は誰でも、人生のあらゆる面から刺激を受け、知識を得て、情熱を燃やしたりします。そして、自分のあらゆる活動に目標を立て、それらを目指し、多面的な人生を送っています。

ビジネスにおいてもプライベートにおいても、役割としての目標に向かって前進することは大きな満足感と意欲につながります。さらに、人生の目標を相互に理解し合い、支援し合うことができれば、私たちはより大きな成果を生み出すことができるでしょう。

今一度、あなたの一週間コンパスをひもとき、役割すべてに対する目標を確認してみましょう。