第四の習慣 Win-Winを考える
人間関係の6つのパラダイム

7つの習慣 セルフ・スタディ

人間関係におけるパラダイムは以下の6つに集約されます。

  1. Win-Win:自分も勝ち、相手も勝つ。それぞれの当事者が欲しい結果を得ること
  2. Win-Lose:自分が勝ち、相手は負ける。相手を蹴落としてなんぼの世界
  3. Lose-Win:自分が負けて相手が勝つ。相手が幸せになるならば、自分は常に踏み台でかまわない
  4. Lose-Lose:相手が負けて自分も負ける。相手に勝たせるくらいなら足を引っ張って共倒れしたほうがマシ
  5. Win:自分の勝ちだけを考える。自分が勝てば相手がどうなろうと知ったことではない
  6. Win-Win または No Deal:Win-Winの合意、または取引条件に至らなければ、取引しないことに合意する。妥協するくらいなら白紙に戻す

現在、多くの人が持っているパラダイムが「Win-Lose」です。これは私が勝ってあなたは負けるという考え方です。リーダーシップのスタイルでいうならば、「あなたは満足しないかもしれないが、私は満足だ。私のいう通りにせよ」という独裁的なアプローチです。

ほとんどの人は、生まれたときからWin-Loseの考え方を植えつけられて育ってきたといえるかもしれません。ライバルを蹴落とさなければ生き残れないような厳しい環境で仕事をしている人は、今まさに、その状態で不安な日々を送っていることでしょう。

この考え方の危険なところは、価値の判断基準が常に相対的なものであり。他人との比較や、周囲からの期待に対する達成度でしか自分の存在意義を認められないことです。自分が成長しなくても相手のレベルや要求水準さえ下がれば勝てますし、また「それでよし」とするパラダイムです。

子ども時代からこのような好戦的な価値観を持ってしまうと、常に他人の顔色を窺い、相手を出し抜くことで、望む結果を手に入れようとするようになります。

「Win-Winなど、綺麗事に過ぎない」と思う人もいるかもしれませんが、人生は競争ではありません。私たちは、恋人または配偶者、同僚や上司、友達と、毎日、勝ち負けを争いながら生活しているわけではありません。むしろ、協力し合うことによって、お互いが満足する結果を得ることのほうがずっと多いということに、一刻も早く気づいていただきたいと思います。

Win-Loseとは逆の考え方が「Lose-Win」のパラダイムです。

「どうか私を踏み台にしてください」

「好きなように利用していただいてけっこうです」

「自分は生まれつき負け犬だ。今さら変わりようがない」

「衝突や面倒さえ避けられるなら、自分は何でもいいです」

こうした卑屈な姿勢に終始するLose-Winは、もしかすると他人を踏みつけにしようとするWin-Loseよりもタチが悪いといえるかもしれません。

Lose-Winの考え方には、基準、ビジョン、希望、期待などが全くないからです。相手の要求にすぐに従ってしまうのは、自分なりの基準がないからです。

また、相手に好かれたいという欲求が強いあまり、自分の信念や気持ちを表現する勇気がなく、他の人の我の強さに怯え、すぐ白旗を揚げてしまう人でもあります。

相手のWinを尊重したつもりで、この態度を選ぶケースも少なくありません。本人はWin-Winだと思ってそうしたにもかかわらず、結果的にLose-Winになってしまうこともあり得るのです。

自分のWinを貫くのはとても厳しいことです。優しい人ほど、「相手をイヤな気持ちにさせたらどうしよう」「人間関係にヒビが入ったらどうしよう」という不安ばかりが先行し、「自分が我慢すればいいのだから」となってしまいがちです。

また、Lose-WinとWin-Loseは、相反する関係であるともいえます。ある一定の地位(経営者やマネージャー、あるいは親)にある人は、混乱して秩序が保てなくなってくると、思いやりのないWin-Loseになり、良心の呵責に耐えられなくなるとLose-Winに戻り、そしてまた怒りとともに、Win-Loseに走ってしまう傾向があります。

力関係によって半ば強制的にLose-Winの選択を余儀なくされている人は、自分の立場が上になると、弱者に対しWin-Loseの態度で臨みがちです。「憂さを晴らす」「やられたからやり返す」という負のスパイラルに、自ら望んで飲み込まれてしまっている状態であり、こうした人間関係の連鎖が、仕事の成果や周囲に対しよい影響を与えることはまずありません。

Lose-Winのパラダイムを持つ人は一見、罪のない「お人よし」のようにも見えますが、上の例でもわかるように、必ずしも善良なわけではありません。他人に嫌われまいと、自分の正直な気持ちを押し隠し、その場限りの無責任で安易な選択を行っている場合が多く、そうした人が他者から信頼されたり、特に好かれたりすることは少ないでしょう。

特にWin-Loseの人から見れば、Lose-Winの人は単なる手段であり、餌食に過ぎないのです。

「Win-Win」とは、すべての関係の中で、お互いの利益を求める精神のことで、お互いに満足できる合意や解決策を打ち出す考え方です。人生を競争の舞台ではなく、皆で協力して完成させる舞台と見るパラダイムです。

先ほどの二大悪習「比較と競争」で紹介したように、現代人は人生を、強いか弱いか、勝つか負けるか、食うか食われるか、といった概念で捉えがちです。しかし、人生の質や価値は力関係や地位によって決まるものではありません。

Win-Winの考え方のスタートは、お互いに満足する答えが必ず存在するはずだと考えることであり、ある人の成功は必ずしも他の誰かを犠牲にしなくても実現できると信じることです。

考えてみれば、基本的に私たちの生活はWin-Winのはずです。たとえば、買い物をするときに、商品の代金を払うのはその商品が欲しいからであり、売る側は売りたくて打っている(代金が欲しい)わけですから、この関係はWin-Winということになります。仮に店側が粗悪品を売りつけたり、客側が意図的なクレーマーだったりした場合、両者の関係が将来にわたって続くことはないはずです。

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