個人から始める「働き方改革」実践術

4 「同じ知識、行動」からは「同じ結果」しか生まれない

インプットを変えなければアウトプットは変わらない

誰でも頭ではわかっていても、実際の行動になれば、考えていることとちがうことを行ってしまう。
これはよくあることですが、中でももっとも多いのが、「違う結果を得ようとしているのに、同じことを行ってしまう」ということでしょう。

誰でも、インプットを変えなければアウトプットは変わらないということは頭では理解しています。パソコンで同じキーボードを打ち続ければ同じ表示しかされませんし、ピアノの同じ鍵盤をたたき続ければ、同じ結果しか生まれません。

ではビジネスではいかがでしょうか。
たとえば、「クライアントとの関係を改善し、売り上げを伸ばす」といった目標を立てたとしても、「訪問計画」や「提案計画」、また「推薦する商品内容」など、これまでと同じインプットをしていたらアウトプットが変わるはずもありません。あるいは、「過去にないような商品開発プラン」を作成しようと思っても、以前と同じようなリサーチやプランのプロセスを経ていたら、アウトプットの中身はほとんど変わり映えしないものになるでしょう。

現実、すべての仕事において「過去よりも優れた結果」を期待されているはずです。
そうしない限り停滞してしまうからです。
ましてや、働き方改革によって、これまでよりも少ない労働量でより大きな成果を期待されているとなれば、これまでとはまったく異なる知識や行動が必要となるのは明らかです。

今までとは違うアウトプットを得るには、過去の計画(長期目標からデイリータスクまで)を見直し、これまでとは異なる計画を立案し、それに基づいて行動を起こす必要があります。

主体的な目標を立てることから始める

そういう意味では、計画から始めるのではなく、これまでとは違う取り組みにつながるような、自分だけの「主体的な目標」を立てることから始めましょう。
「主体的な」としているのは、通常私たちが目標と呼んでいるものは、大半が所属する組織や会社から与えられただけの目標であり、その目標と自らの価値観をつなぎ合わせ、本当の自分自身の目標として納得し、設定している人は少ないからです。所属する組織から求められることに対しコミットし、成果を上げていくのは当然です。誰にも言う必要もありませんし、失敗してもかまいません。ここでは、自分自身だけが持つ、これまでにはない「より高いレベルでの自分自身」になるための、「主体的な目標」を設定しましょう。

主体的な目標を設定するということは、戦略的に現状を変革していくということでもあります。つまり現状と対立することにもなり、新しい分野を開拓することはワクワクする反面、時として大変な思いをすることにもなるでしょう。
これまで慣れ親しんだ習慣を捨てるのは大変なことです。当然、あなたはチームメンバーを集めるためにさまざまな人から話を聞き、参考にしようとするでしょう。意見を受け入れてくれる人もいれば、そうでない人もいます。あなたの言動に反対の意を唱える人が出てくる場合もあるでしょう。
あなたは、自分自身の「もう、やめようか」という気持ちと、周囲からの「それはやめてほしい」という二つの壁と対峙することになります。いずれの壁も乗り越えるのは厳しく容易ではありません。

目標を設定するということは、このように現実との対峙を生むことでもあります。
この壁を乗り越えていかない限り、目標の実現はないということを理解しておかなければなりません。