心身の健康に正しく向き合うための考え方と
「フランクリン・プランナー ヘルスケア」の使い方

保坂嘉之「フランクリン・プランナー ヘルスケア」を監修いただいた、保坂嘉之先生 特別インタビュー

医療法人芙蓉会生活習慣病治療施設
保坂内科クリニック院長

保坂嘉之様

「手帳で生活習慣病に勝つ」

「フランクリン・プランナー ヘルスケア」を監修いただき、「心身の健康に正しく向き合う7つのポイント」として、生活習慣病にならないためのポイントをわかりやすくまとめていただきました。この手帳を実際に患者様にお使いいただき、どのような変化がありましたか?

保坂

僕の糖尿病の診療がすごく楽になりましたね。この手帳の「7つのポイント」に基づいて、まずは「この7つを覚えて順番にやってください」とだけお伝えしています。

患者さん達にとってすごく当たり前のことしかなく、一切、特別なことはありません。

本当に健康的な生活をするという普遍的なことです。生活習慣病だから、糖尿病だから、血圧が高いからとかではなく、誰にとってもやった方が良いっていうことだけです。甘い物や炭水化物など取っては駄目だとか、全然指導していないのに、実際にちゃんと血糖値も良くなっています。

当たり前のことが当たり前にできれば、生活習慣病になんかならないのです。

だから、まず当たり前のことが当たり前にできるようになればいいわけです。

例外的に、ごく一部の人で、血糖値が上がったりする人がいます。逆に言うと、その人は非常に不健康な生活をしていたってことです。極力、炭水化物を食べないとか非常にいびつな食生活で、血糖値を上げない生活をしていたということです。そういう生活は全く健康的ではありません。だから、普通の健康的な食事のバランスにしたときに、前よりも血糖値が上がるのは、当然と言えば当然ですが、健康的な食生活をしてもなお、血糖値が正常より高くなるっていうのは、これもう生活習慣病じゃなくて病気なんです。そこの部分はもう病気だから、お薬をきちんと調節して治療にあたることになります。つまり、以前は不健康な食生活にお薬を合わせていたってことなのです。

そういう意味では先生が常々実践されて、患者さんにも勧められている「7つの習慣」の言う原則に従うということなのでしょうか。

保坂

そうだと思います。「7つの習慣」とは原則を中心に生きることです。生活習慣病の治療の中で「原則って何だろう?」って考えると、健康的な生活をするということが原則だし、原則とは議論の余地のない、変わらない普遍的なことですから、日本の環境の中で伝統的な食生活というものを基本にした方がいいのではないかと考えるのは当然のことだと思います。

自分の行動を日々マネジメントするにあたって、原則は、どういう風に落とし込んでいけばいいのでしょうか。

保坂

経験的にずっと思っていたのは、やっぱり生きがいとか目的意識とか、そういうものがある人の方が、血糖値のコントロールなども圧倒的にうまくいきます。「何のために健康に気をつけるのか」の答えを持っている人とそうでない人とではやっぱり全然違います。

逆に、元気でいられる時間を10年得られるかもしれないとなったときに、「その10年を何に使うか」、「その10年がどういう意味があるのか」というものをイメージできない人は、健康に気をつけようという気にもならないと思うのです。

当然それが1年だったらどうするか、今月はどうする、今日はどうするかということに落とし込まれてくるわけですね。

保坂

生きがいがある人に、「何が生きがいですか?」と聞くと具体的に出てきます。そうすると必然的に、「いつまでにこういうことをしたい、どういう予定を組み、毎日どうしていくか」など、主体的に計画されていきます。

実際に、検査のデータや血糖値など数値を記録して、日々の生活に役立てていこうというのは、けっこう行われています。ところが、問題なのは、それを患者さん達が主体的に使えているかどうかです。やらされている感覚のまま、自分の手帳ではなく、お医者さんに見せるための手帳という感覚になってしまうことがどうしても多いのです。

むしろそういう病気用の手帳に記録していくよりは、いろいろな生活のスケジュールなどを含めて記録していく方が、ずっと理に適っているのではないかと思います。生活習慣病は、「99%が自己管理の病気」とよく言われるのは、ほんとにその通りですね。

これまでまったく健康のことを考えてこなかった人が、この手帳を見て生活習慣病を意識するようになったとすれば、どのようなアドバイスをされますか?

保坂

「梯子の1段目から行いましょう」ということですね。梯子の1段目、2段目という表現がよかったのは、梯子って一段目からしか登れない。だから、梯子の1段目は、良くなるという考え方をしたうえで、規則正しい生活をする、三度の食事をするってことなのですが、とにかくそこから始めることになります。梯子の1段目が登れてはじめて、次は2段目なのです。だから、順番飛ばしはできないのです。健康にはこういうのがいいとか、生活習慣病にはこういうことがいいという情報があふれかえっています。だから次々と試してみては良くならない、気をつけているつもりだけど痩せられないとか、そういう話ばかりです。なぜそうなるのかというと、優先順位が違うからです。どこから始めるかというのは非常に重要なことで、梯子の1段目、2段目ができてなくて、3段目、4段目をしようとしてもほとんど意味がないのです。

被害者意識の中で、不規則な生活をしていながら、じゃあ毎日明日から5キロ走ろうみたいな話ですよね。

保坂

そうそう。順番がすごく大切。よく患者さんに、「家を建てるときに必ず基礎から建てるでしょう、基礎ができないうちには、柱は建てません。建てたとしても、ぜったい完成しませんよね」という話をいつもしています。だから順番がすごく大切で、「1段目、2段目、3段目、4段目の順番を、まず覚えてください」と言っています。

梯子の1段目の規則正しい生活っていうのは、まさにスケジュール管理です。

朝6時に起きる、朝食を食べる、夜9時以降は食べないなどという。

保坂

そうです。規則正しい生活をするためには、時間の管理をしなきゃいけなくなるわけです。だから、規則正しい生活をするために時間管理をする、計画を立てる時間を作るとか、生活に対する考え方として優先順位をどこに持っていくかというのが、梯子の1段目なのです。だからそういう考え方をしていない人にとって、梯子の1段目は簡単なことではないかもしれない。でもそこを登れないと、次にはいけないのです。結局、何をやっても、気をつけているつもりでいても、結果が出ないで終わってしまいます。

自分の起きる時間と寝る時間をコントロールできない人が、他のことをコントロールできるはずがないですし。まさにパラダイムシフトという気がします。

保坂

そう。それまさに、パラダイムシフトです。何が大切なのかということに対する考えが変わらないとまったく駄目なのです。そもそも生活習慣病は薬じゃ治せないはずです。「生活習慣病なのですから。」それを薬で何とかしようとすれば、おかしなことが出てくるわけです。

もちろん、100%生活習慣だけなのかっていうとそうではありません。やっぱりほんとに病気の部分もあって、そこまでも生活習慣で何とかしようとすると、またおかしくなるわけです。

これは、ほんとに「7つの習慣」を知って、原則中心に物事を考えることで自分の仕事を見直し始めて、すごくすっきりしました。誰と話しても、患者さんと話しても、ほんとに原則中心の当たり前の話ができるので、ぶつかることもなければ迷いもないですね。

そのプロセスという原則にきちんと気づきさえすれば、ほんとに大きいですね。患者さんにも安心感が生まれ、ここができてないのだからこれはできるわけないと思えるわけですから。最初に先生がおっしゃった、「この通りにやっていけばいい」という、保坂先生の安心感がよくわかりました。